更新
「不動産ビジネス 成功への道」
-第44回-
地域的リスク
当然のことではありますが、建物は土地と不可分です(移築などすれば別ですが)。
そのため、ビル経営は、その地域の良いところ、悪いところを前提に行うことになります。
収益を下げる懸念がある部分のリスクで、地域性によるものとして、たとえば、地震、浸水、火災があります。
地震は、日本全国どこでも発生する可能性はありますが、周辺の建物が倒壊しやすい地域か、火災で延焼しやすい地域か、それとも安全性が高い地域か。
既に所有している場合、危険度が高ければ、他の不動産を含む別な資産に替えるのか。そのまま所有し続けるのであれば、高い危険度は受け入れつつ、何か対策が可能かを検討しなければなりません。
建物・設備だけでなく、人命に関わる可能性があるなら、ビルオーナーとして、不安感をあおることなく入居中のテナントに避難場所などを伝えることも必要です。
たとえば、東京都にビルをお持ちであれば、東京都が公表している「地震に関する地域危険度測定調査」が参考になります。
浸水も、地域または場所によって、浸水発生可能性や浸水の程度が違います。大雨が原因となる浸水により、国内で過去に何度も、建物だけでなく、人命に関わることが発生しています。
地下に電気設備や店舗などがあると、設備が止まったり、人的な被害も生じたりしかねません。対策としては、水が入らないようにするための防水板の設置、避難しやすいようにするドアの改造などが考えられます。浸水の被害を受けやすいか、そうでないかは、市役所等で公表されている地域は多いと思います(東京都では、洪水ハザードマップなど)。
そして、貸ビル経営(オフィス)で、これらの災害等とともに大きな地域的リスクは、その地域で長期的に安定した賃借需要がないということ。
そのほかにも、周辺に好ましくない土地の使い方をしていないかなど、地域的なリスクがあります。
どの商売でも大小のリスクがありますが、ビル経営でも同じように、少なくとも、大きそうなリスクは予めチェックし、必要に応じて対策をとってはいかがでしょうか。