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「不動産ビジネス 成功への道」
-第43回-
コンバージョン
「コンバージョン」という言葉があります。
インターネットの世界では、大まかに言えば、ウェブサイトでの顧客の購入、申込などに結び付けることのようです。サイト運営者の事業に大きな影響を与えます。
ラグビーには、コンバージョンキックというのがあります。当初、勝負を決めるキックだったから、このように言うのだそうです。
不動産でも、コンバージョンという言葉があります。
現在の建物に手を加えることに、リフォーム、リノベーション、コンバージョンといったものがあります。
統一された明確な定義はありませんが、建物の用途を他の用途に変える大規模な工事を伴うものをコンバージョンということが多いようです(ここでは、言葉の正確な定義には触れません)。
建物を取り巻く環境が変化すると、建物も変えざるを得ません。建物を使い続ける限り、何らかの投資は必要になります。
場合によっては、用途転換など大幅な変更が必要な状況もあります。これは、不動産投資の収益性を大きく左右する投資になります。
その際、特に重要なことは、長期的な収支計算。その中でも、計算の根拠となる数字の設定の考え方です。
そのうえで、現在のオフィス用途、用途転換後の用途、それぞれの事業環境の予測と長期の収支計画を作り、比較することです。
たとえば、海外からの観光客が急増し、ホテル不足の状況にあるから、ホテルに用途転換が良いのではないかと思うことがあるかもしれません。最近の記事で、オフィスをホテルなどに用途転換するものが出ているというものがありました。
私の周りでも、ホテル運営の収益性が良いことから、建物をホテル運営会社に賃貸するという話を聞きます。しかし、その状態が10年、20年と続くか。その都市全体での需要はあるかもしれませんが、もし、ホテルが過剰気味になっても、競争力のある立地・建物にできるか。この観点からの分析は必須です。
過去にも、目の前の供給不足にあおられ、長期的な事業性の分析が不十分なまま投資し、その後、事業性が悪化した貸ビルは多々あります。
しかも、ホテル用途は、賃貸オフィスビル以上に、運営者の能力の良し悪しが、ビルの収益にも影響します。
ホテルやショッピングセンターなど、運営者の能力が収益性に大きく影響する事業に建物を賃貸するときは、検討すべき項目が増えます。
コンバージョンなどを行いたい場合、長期的な視点での分析が必要です。