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「不動産ビジネス 成功への道」
-第35回-
価値に気付いていなかった。
多くの人にとっては、あまり価値を感じないけれど、その価値がわかる人にとっては、極めて高い価値があるというものがあります。
骨董品やヴィンテージ品といったものが一例です。
先日、依頼を受け、ある賃貸オフィスビルを見に行きました。
東京都心で、複数の鉄道が利用でき、最寄りの駅から徒歩5分程度のところにあります。
駅の周辺は、超高層のオフィスビルや中小のオフィスビルが多いオフィス街です。
ところが、見に行った物件の周辺は、マンションなども多く、ビルの前の通りは人通りが少なく、閑静なのです。
建物の築年は25年程度。規制により大きな建物は建てられないようで、規模は小さめです。
おそらく、このような状況を踏まえて家賃を決めてきたのでしょう。
しかし、建物の外観は品格があり、ビル内部も清潔感が高く、新築ビルと比べても、大きく見劣りするということはありません。古くなっていても、メンテナンスがキチッとされていることから、味があるともいえます。
入居しているテナントは、知恵が勝負といってもよい企業です。
そこで思ったことは。
「どこに行くにも便利。来客にとっても便利。しかも、人目に付きにくい。」
ということ。
つまり、もしかすると、テナントにとっては、丸の内の新築ビルに入るよりも、こちらのビルの方が、感じる価値が高いかもしれないということです。
このような賃貸オフィスビルは、極めて少ない。
つまり、希少価値があるのではないか。
すると、いままで、駅前のオフィス街でない、建物が古いと思っていたことが、逆に、“売り”になります。
最寄り駅近くの新しいビルよりも家賃が低いだろうと考えるのではなく、希少価値が高いから、家賃を高くできる可能性があるといことになります。
これは、建物利用者にとって、その物件を使う意味を考えたことから気付いたことです。
大部分の企業にとっては、価値が少ないのでしょうけど、このような物件を必要とする企業にとっては価値が極めて高い可能性があります。