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「不動産ビジネス 成功への道」
-第30回-
評価されているビルオーナー
先日、ある雑誌に、不動産仲介業者による売り物件の囲い込みについての記事がありました。
囲い込み、つまり、売主から仲介を依頼された業者が、買い手も自社で見つけるように、他の仲介業者から照会があっても情報を出さないなどの対応をしていることです。
これにより、仲介手数料を売主と買主の双方からもらえます。
違法なのですが、売上をあげるために、大手不動産会社も行っているのではないかという記事でした。
仲介業者も商売なので、できるだけ売上を上げたいということです。
しかし、仲介業者には、信頼が必要という面もあります。
本日は、この点について。
ビルに空室が発生し、新たにテナントを募集するとき、仲介会社にも客付を依頼します。
仲介業者としては、仲介した賃貸借契約が成立してはじめて、手数料をもらえますから、手数料をもらえるか、手数料がいくらかが、仲介活動をするときの大きな動機になります。
しかし、信頼のおける仲介会社の社員は、それだけが行動の基準ではありません。
以前、このようなことがありました。
ある仲介会社の方と打合せをしていたときのこと。
その日、その方が仲介したばかりの企業の移転責任者の方から連絡が入ったそうです。
その企業は、入居に当たり、会議室設置などの内装工事を行うことになっていました。
そのビルは、テナントの内装工事は、ビルオーナー指定の工事業者が行う取り決めがあります。
これは、テナントが勝手に工事すると、建物や設備を痛めることとなる可能性があるので、やむをえない面があります。
話は元に戻りますが、この連絡は、内装工事の見積額が高すぎるというものでした。
この企業は、他にも賃借しているビルがあるため、それらのビルでも内装工事をしますが、これらと比較して格段に高すぎるというものです。
テナントの立場に立つと、“なぜ、こうようなビルを紹介したのか”ということです。
仲介会社の社員にとってみれば、自分の信用問題にもなりかねません。
まずは、状況を把握し、工事見積額が適正なのか高すぎるのかを確認するのでしょうが、場合によっては、このビルオーナーには、次からテナントを紹介するのを控えようという気にもなるでしょう。
ビルオーナーも、評価されていることを忘れないようにしましょう。