三つ星オフィスビル構築コンサルティング

不動産ビジネスの基本を知る、使う。

株式会社リアルエステート・アドバイザーズ

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「不動産ビジネス 成功への道」

-第28回-
お客様を選ぶ。

会員制サービスを、顧客の囲い込み手段と考える企業は多いと思いますが、これは売り手の論理です。本来は、その会の設立趣旨に沿って、会員のためのサービスを提供することだと思います。

ゴルフでいえば、軽井沢ゴルフ倶楽部がその最たるものという話を聞きます。私が実際に使ったことはないので、伝聞になりますが。

会員と会員の家族、会員の同伴者だけがクラブハウスに入れる。現役総理大臣を警護している警官も中に入れなかったという話です。

雰囲気の違う人がいることで、その場の雰囲気を“だいなし”にすることを避ける。会員が倶楽部内で快適に過ごせることが、大原則としてあるようです。

 

これは、貸ビル経営でも同じです。

賃貸オフィスビルは、入居しているテナント及びテナントを訪れる関係者にビジネスをする場を提供し、それに対して賃料をもらうという大原則があります。

各テナントの社員は、エントランスホールですれ違い、エレベーターに乗り合わせます。

フロアに複数のテナントが入っている場合、トイレや給湯室などを共同で使うことも多いでしょう。

そこで、エレベーター内で大きな声で会話している、スーツ姿の人が多い中に、サンダル履きなど、見るからに違和感のある服装の企業が入居していたら、他のテナントはどのように感じるでしょうか?

営業系の部門の朝の朝礼で、気合を入れるために、大きな声で営業用の標語をとなえ、太鼓を鳴らす会社が入っていたという話を聞いたことがあります。

いくら建物や設備が立派でも、これでは、他のテナントに快適なビジネスの場を提供できていません。

テナントの社員のことまで口出しできないと思われる方がいるかもしれません。しかし、ビルオーナーは、テナントに対してビジネスの場を提供することで、賃料をいただいています。しかも、そのテナントが入居することを認めたのは、ビルオーナーです。だからこそ、他のテナントに迷惑をかける行為は予防する対策をとり、違反行為は是正してもらう必要があります。そのための労力、気苦労などは多くなります。

そこで、まずは、新規テナント募集の際に、そのようなテナントを入居させないことが大切です。

貸ビル市況などによっては、そのような贅沢はいえないとお考えの方もいるかもしれません。しかし、場合によっては、しばらく空室が続いても、入居させなければよかったと思わせるテナントもいます。

ビルの雰囲気は、建物から受ける印象だけではありません。そこで人が働いているからこそ醸し出す雰囲気があります

それがビルの“格”を創りあげます。

“お客様を選ぶ意識をもつ”ことも、繁盛し続けるビル経営を続けるためには必要なことです。