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「不動産ビジネス 成功への道」
-第17回-
勘と経験と+α
数年前から、団塊世代の人たちが引退するので、その人たちの経験を若い世代に引き継いでもらおうと、色々と工夫をしている企業は多いと思います。
これまで経験知だったものを、具体的な方法・手順に変換できたという話を聞いたことがあります。
勘と経験の部分を、細かく分析し、見える形に変えたのでしょう。
しかしながら、実際に自分で成功も失敗も経験し、工夫してきたからこそ、勘が働くという部分があります。
たとえば、危険を予知するときの“何か変だ”という感覚。
手順を踏んで分析するというより、人間が潜在的に持っている能力全てが一瞬に凝縮された結果が現れるのだと思います。
これを他の人に伝えようと思っても、難しいと思うのは私だけでしょうか。
これが、熟練度の高いレベルのプロです。
若い人をこのレベルに上げるため、長い時間を伴に仕事をしながら伝えることが最善の方法です。しかし、それができないときには、次善の策として、最低限の水準を維持する仕組みが必要です。
いわば、サービス業の工業化の部分です。
貸ビル経営も似ているところがあります。
日常的なテナント対応、月々の請求書発行、賃料改定時の対応、新規テナント募集時の対応方法など、サービスとして何をすべきかを検討したうえで、手順や書式を決めているビルオーナーもいるでしょう。しかし、以前からの方法でやっているだけ、管理を依頼している会社にお任せ、というビルオーナーも多いのではないでしょうか。
特に問題が起きていないからOK。
本当に問題が起きていないのでしょうか?ビルオーナーが気付いていないだけなのかもしれません。
確かに、勘と経験やこれまでのやり方で、ビル経営を続けるということもあるでしょう。
しかし、それだけでは、ミスや見落としが起きる可能性が高くなります。また、ビル経営上、本来必要である手順などに気付いていないこともあります。
勘と経験と従来のやり方でビル経営をしてきた企業であれば、担当者が退職すれば次の世代に引き継がれないことが増えます。個人オーナーであれば、子供たちに引き継がれなくなってしまう部分がでます。
手順や様式を決めていれば、ミスを少なくでき、また、毎回、最初から考えることをしなくて済みます。最低限の経営水準が保てます。
そして、よく検討しなければならない部分に集中して取り組むことができます。時間を短縮でき、しかも、より良いものができる。ビル経営を仕組みとして創りあげることの大きなメリットのひとつです。
経営を、経験と勘のみから、仕組み化することで、ミスを少なく、時間を短縮し、創りだした時間を別のことに使う。
テナントに喜んでもらい、収益も高まる。そして、貴方と社員の人生の大切な時間を、もっと有効に使いませんか。