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「不動産ビジネス 成功への道」
-第15回-
”モノより思い出”
前回、「“売り”を見つけ、伝える。」ということの大切さをお伝えしました。
ここで、どうすれば“売り”を見つけられるのか・・・と、先に進めなくなった方がいらっしゃるかもしれません。
進めなくなった理由のひとつに、“何を売っているか、今一つはっきりしない”ということがあるのではないでしょうか。
たとえば、親が建てたものを引き継いだ、他の会社が所有しているものを買った場合、既に賃貸中であり、継続して収益を上げています。そのため、ビルを商品として提供しているという意識が薄くなっている懸念があります。
貸ビルに限らず、創業者や新製品を開発した人は、創り上げる過程での様々な苦労を乗り越えていますので、企業や商品・サービスに対する深い思い入れがあります。
創業や開発の途中で、強いライバル企業・商品という壁があり、自社の魅力は何か、他社との違いはなにか、何を強くアピールすればよいのかを考えます。
ただし、他社との違いをアピールするだけでは不十分です。
その違いが、“お客様にとって、違いとなっているか”が重要です。
ダントツに売れている商品・サービスは、“お客様がその商品・サービスに求める本質的な部分”を押さえているのだと思います。そして、その部分で強い商品・サービスになっている。
ずいぶん前になりますが、車のコマーシャルで、「モノより思い出」というキャッチコピーがありました。
車というモノでなく、車は思い出を作るための場を提供するものという趣旨ということでしょう。
そして、そのための車のデザイン・性能などを創り上げる。
これは、賃貸オフィスビルも同じです。
“売り”を考える前段で、テナントがオフィスビルに求めるものは、何か。
これを、“売り”を検討する起点とすると、それを満たすために必要なビル空間、設備を提供しなければならないという順番になります。
“売りは、ビルがある地域・テナントによって、変わります。
売りを見つけるためには、まず、お客様であるテナントは、オフィスビルに何を求めているか、これを考えてみませんか。