更新
「不動産ビジネス 成功への道」
-第12回-
転がる石に苔むさず。
「転がる石に苔むさず。」
ということわざがあります。
英語では「A rolling stone gathers no moss.」
転がっている石には苔が生えないということですが、違った印象を与える2つの意味があります。
ひとつは、“一つのところで腰を据えて取り組まないと、成功しない”という意味。
もうひとつは、“転がり続けているから、いつも新しい・新鮮な状態でいられる”という意味。
「苔」を良い意味で受け取るか、好ましくない意味で受け取るかの違いが、このような違いを生んでいるのでしょう。
日本やイギリスだと、良い意味で使うようです。
一方、アメリカだと好ましくない意味で使うようです。
それぞれの国の色が出ていて面白いです。
さて、貸ビル経営で、この2つの意味の両面を考えてみましょう。
“苔が生えることは良いことなのか?”
ビルは新しいほど良いと考えられていますが、本当に質の高い築年の古い建物は、新しいビルでは出せない雰囲気を出すことができます。
たとえば、昭和初期の建物で、質の良いデザイン・施工がなされ、また、きちんと手入れをされてきたものは、外部の装飾や内部階段などで風格を醸し出すものがあります。これは、他のビルでは真似しようと思っても真似ができません。
一方、企業で働く人がオフィスビルに求めるものは、時代によって変わってきました。今後も、変化しつづけるでしょう。
たとえば、ビルのセキュリティ、空調方式、電気容量など、それぞれの時代の人々が求めるものに対応するために、変化が必要です。
物理的には、建物の寿命は長いのですが、時代は、日々変化するテナントが必要とする“快適な場”を提供するために、ビルオーナーも日々、新しい知識を取り入れ、対応し続けなくてはなりません。
お持ちのビルが古くても、味が出せて、時代が求める性能も提供できるなら、強いですね。
ところで、この2つの意味。人にもあてはまります。