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「不動産ビジネス 成功への道」
-第11回-
デザインが価値を生む。
都心には多くのビルが建ち並んでいます。
ビルの外観は、よく見ると、ひとつひとつ違いがありますが、ほとんどのビルは、あまり気に留まらずに通り過ぎます。
たまに、センスが良いなと感じるビルがあります。
このようなビルに空室が発生することになり、新たにテナントを募集する場合、賃料や設備など他の条件が同じであれば、他のビルよりも先にテナントが決まるでしょう。
外観のデザインに価値があるということです。
外観のデザインを変えるというと、投資額が大きくなりますが、比較的少ない投資で済むのが、貸室内の内装です。
賃貸オフィスビルに限らず、賃貸マンションも、貸室内の標準的な内装があります。
たとえば、色でいうと、賃貸オフィスビルは、壁・天井は白、床はグレー系。
白は、明るく、清潔感があります。
グレーは、落ち着いた印象を与え、汚れが目立ちにくいです。
人による好き嫌いが少ない色でもあります。
借り手となる企業が多くいる地域にあり、テナント募集しても、すぐにテナントが決まりそうな物件であれば、無難な色使いです。
賃料は、おおむね想定した水準となります。
ところが、そのような地域ではなく、同じような内装で、空室が長引いているビルがあります。
このようなビルの場合、若い世代が“働いてもよいかな”と思う立地であれば、デザイン性の高い内装に変えることで、空室が解消し、しかも、周辺の同じような規模の貸ビルよりも高い賃料で成約できる可能性があります。
デザインに価値を認める人たちがおり、それに賃料を払うということです。
ただ、安易に内装のみ変更すればよいというものではありません。
内装を変える前には、デザイン性の高い内装に価値を認めてくれる人たちが継続して存在する地域であるか、ビルのエントランスのリニューアルも必要か、内装変更投資後の事業採算など、検討したうえで判断しなければなりません。
それでも、収入を増やす対策のひとつですから、考える価値はあります。