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「不動産ビジネス 成功への道」
-第124回-
スペシャリストばかりでは・・・
先日、年配のある設計者と食事をしていたときのことです。
その方が参画している不動産プロジェクトの話題になりました。
そのプロジェクトは、再開発で、建物の設計や工事だけでなく、法律、税金、マーケティングなど、様々な分野のことが絡んできます。しかも、それぞれの分野がさらに専門に分かれていることも多くあります。
場合によっては、都市計画も含めた行政との交渉、近隣住民対応なども必要になります。
また、資金調達を考え、企業業績への影響を検討しなければなりません。
そして、それぞれの分野は幅広く、しかも、複雑な内容になっていることもあります。
再開発に限らず、不動産プロジェクトの成功のために、社内外のそれぞれの分野の専門家に参画してもらうことになります。
それぞれの専門家の力を十分に発揮してもらうためには、プロジェクトの目的や方向が定まっていることがとても重要です。目的や方向は、専門家にとっては、知恵を絞る前提ともいえるものです。
これが定まっていない、または、ブレると、専門家は、どこに焦点を当てれば良いかわからなくなります。手戻りが生じることもあります。
また、他の会社や個人との共同開発の場合、これらの方々との調整など、事業を進めるための対応も必要になります。
プロジェクトのリーダーは、目的や方向を決め、関係者に示し、これらを全体として統括し、前に進めていかなくてはなりません。
これは、単に、ある分野の専門性が高いだけではできません。
プロジェクト全体を理解し、それぞれの専門家と対話ができ、動いてもらえる程度の知識や経験も必要です。
また、主体的に考え、判断し、行動する。
これがプロジェクトリーダーに必要です。
しかし、その設計者の方曰く。自分の専門分野のことは強いが、プロジェクト全般を統率するために必要な見識を持ち、さらには決断力や行動力も兼ね備えている人が、なかなかいない。
同じような話は、以前、他の方からも聞いたことがあります。
専門分化し、ゼネラリストが少なくなったのでしょうか・・・
不動産プロジェクトに限らず、事業成功の鍵は、本当の意味でのゼネラリストを見つけることなのかもしれません。