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「不動産ビジネス 成功への道」
-第54回-
潜在的な気持ち
「釜口さん、本に書いてある通りです」
今週、あるコンサルタント会社の方とお会いしたときのことです。
何かと思えば、その方が働いている会社がテナントとして利用しているビルの話でした。
その方とは数年前からの知り合いですが、私が執筆した「これからのビル経営」を読んで、自分がテナントで入居しているビルのことが気になりだしたということです。
その方いわく、
「エントランスの受付に2人が座っているのですが、私が前を通っても、2人はおしゃべりをし続けているのですよ。私がテナントと知っているのに。最初にビルを内覧しに来たときは、丁寧なあいさつだったのですけど。」
「高級感のあるビルなのですが、身だしなみが悪いテナントがいて、雰囲気が台無しです。」
「けっこう高い賃料を払っているのですよね。」
おそらく、その方が「これからのビル経営」を読む前から、これらのことについては、なんとなくではあっても感じていたことと思います。
それが、本を読んだことで、何が問題なのかが明らかになったということでしょう。
つまり、潜在的な気持ちとして持っていた不満が、どこに問題があるかがわかったということです。
潜在的な不満の気持ちの段階では、テナントからのクレームにはなりません。また、この方のように、潜在的な不満の原因が明確になっても、ビルオーナーに伝えないままでいるテナントは多いのではないでしょうか。
“テナントからのクレームがないから、ビル運営は問題ない”ということではないのは明らかです。
ビルオーナーとしては“そのビルの貸ビルとしての商品価値が何か”ということを押さえ、それが提供されているかを、自ら顧みることが大切です。