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「不動産ビジネス 成功への道」
-第4回-
本当の勝負どころ
三つ星オフィスビル構築コンサルタントの釜口です。
今回は、お持ちのビルで、新たなテナントを募集する場合の話です。
企業がオフィスビルを探す場合、まずは、どの地域にするか(立地)、必要とする面積(面積)はどの程度か、賃料をどの程度支払うか(賃料)を考えたうえで、物件を探すことは多いと思います。
このうち、立地・面積は、ビルオーナーとして手が打ちにくい部分です。東京の新宿にあるビルを東京駅前の丸の内に動かすことはできません。また、募集する床面積は決まっています。そのため、ビルオーナーは、賃料勝負と思ってしまうかもしれません。
確かに、賃料は、テナントにとって、ビル選択の重要なポイントです。まったく同じオフィスビルであれば、賃料が安い方がよいです。
しかし、企業が、いくつかのビルの内覧を済ませ、候補を絞り込む段階では、他の要素が勝負を決める重要なポイントになっているように思います。
つまり、専有部分の形が使いやすいか、エントランス、トイレの印象など、ビルそのものの品質です。
300坪の面積を探している企業であれば、月坪12,000円と13,000円では、月額360万円と390万円で30万円違います。しかし、50坪の面積を探している企業では、60万円と65万円で5万円の違いになります。
賃借面積が大きければ、坪単価1,000円の違いは、総額が大きく変わりますが、賃料総額が小さくなるほど、ビル選定時の賃料単価の差への感度は小さくなります。
また、賃料をコストと考え安くしたい企業と、社員、取引先等に対しても相応のビルに入居したい企業では、この賃料の差に対する感覚は異なります。
そうすると、最終的なビル選定では、“ビジネスの場”として使いやすいか、快適であるかという、賃貸オフィスビル本来の品質が決定要因となります。
お持ちのビルの商品としての“売り”は何でしょうか。一般の商品と同じですが、他のビルとの違いを伝えられなければ、単なる賃料勝負になってしまいます。
テナント募集を始める前に、“売り”を見つけ、それが伝わるようにしてはいかがでしょうか。