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「不動産ビジネス 成功への道」
-第5回-
効果の高いリニューアルか。
三つ星オフィスビル構築コンサルタントの釜口です。
今回は、ビルのリニューアルの話です。
オフィスビルは、年月が経つと、屋上の防水が効かなくなる、空調機の故障が増えるなど、物理的な面で、修繕や取り換えが必要になります。
また、古びて見映えが悪くなった、デザインが古臭くなった、設備の性能が今のニーズに対応できていないなど、ビルを商品として考えたときに、リニューアルが必要なことが発生します。
それぞれのリニューアルは、多額のお金がかかりますので、すべてのリニューアル項目を同時に行えないこともあります。
投資の優先度を決めなくてはなりません。
ここで、大切なことがあります。
せっかく大きな投資をするのですから、今以上に稼ぐビルにしなくてはなりません。方向を間違ってしまうと、期待した効果がでない懸念があります。
新規テナントを誘致するためにリニューアルをするのであれば、そのビルを賃借するテナントは、何を重視して、ビルを選ぶかです。
一方、現在入居しているテナントに引き続き入居してもらう、家賃を維持する、または、値上げしたいことを目的とするのであれば、現在のテナントがビルに何を求めているかが鍵となります。
そのリニューアルは、“何のために行うか”。
これが曖昧だと、せっかくのリニューアルの効果は乏しいものになってしまいます。
女子トイレが暗く、古びた便器、安っぽい洗面台で、女子社員の評判が悪い。入居中のテナントにとっては、トイレを快適なものにすることに効果があるのに、「最近のビルではテナント共用の喫煙室を設置している」という話を耳にし、ビルオーナーは共用の喫煙室を作った。
賃貸市況が悪く、新規テナント誘致に苦戦しそうな場合、現在入居中のテナントに引き続き入居してもらうことが、短期的に長期的にも良いはずです。
頭では分かっていても、実行にあたり、検討の手順を飛ばすと、間違えた判断をすることがあります。