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「不動産ビジネス 成功への道」
-第183回-
どこを向いた専門家か?
先日、お店を新規開業した方からの話です。
知人からは、東京の銀座にでもありそうな雰囲気のお店と言われたということですが、嬉しくなさそう。
なぜか。
それは、内装の工事が、当初予定より2か月以上遅れ、1年間のうちでも忙しい時期の売上が得られたなかったということです。
内装工事業者の話では、通常なら、1か月でできる工事。
なぜ遅れたのか。
一つには、設計者からのダメ出しが多く、現場の作業員が対応できなかったそうです。それ以外にも、現場の作業員のドア取り付け間違えなど、様々なことが起きていたそうです。現場の業者は、設計者が探してきた業者だったのですが、不安だからということで、設計者が以前から知っている工事業者が元請となっており、元請業者は、現場の状態を適切に把握してなかったそうです。ただ、元請業者は、工事の前に、下請業者の技量を確認しており、通常の内装工事なら大丈夫と判断したそうです。
実は、このお店は、東京の郊外で、発注者の方は、普通の内装で良いと思っていたのですが、設計者の“こだわり”があったようです。工事に入る前から、完成した後に写真を撮る写真家も決めていると話していたそうです。
発注者は、設計者の方の役に立つのなら、ということで、かなりの部分で、譲歩してきたということでした。
私からすれば、この設計者は、最も大切なことを忘れています。
何のために、設計をしているのか。
発注者である商売人にとって、開業時期は、極めて重要なことでした。
その設計者は、顧客である発注者の意向というより、自分の手がけたものがどのようになるか、が重要だったのだと思います。
工事では、委託先も含めて、全体が一体となって動かないと、うまくいきません。委託先の選定では、その会社・担当する社員が、どこを向いて仕事をする会社や人物か。これは、とても大事なことです。