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「不動産ビジネス 成功への道」
-第108回-
不動産投資は2つの利益を考える。
オフィスビルやマンション投資での損益は、2つの種類を考える必要があります。
(以下では、投資は利益を求めるという趣旨で、基本的には、損益をまとめて、「利益」と書いています)
一つは、所有期間中、簡単に言えば、賃貸による毎月・毎年の利益。
もう一つは、売却時の利益。
賃貸による利益をインカムゲイン(Income Gain)、売却時の利益をキャピタルゲイン(Capital Gain)と表現することもあります。
この2つの合計で、その投資で、利益が出たか、損したかを考えなければなりません。
毎年利益が出ているように見えても、その裏で潜在的な損失が生じている可能性もあります。
賃貸による利益は、賃料等の収益と各種費用の差です。
費用は、大きくは3つに分かれます。
一つ目は、建物運営に伴う費用。設備点検等の委託費や光熱水費等です。
二つ目は、建物・設備の減価償却費。建物・設備は、時の経過により投資額の一部を費用として計算します。これが減価償却費です。この分、帳簿上の価格(簿価)は低くなっていきます。
三つ目は、借入金の利息です。投資資金の調達に伴う費用です。
もう一つの売却時の利益は、売却時の簿価と売却価格の差です。
簿価は、不動産を手に入れた時の投資額ではありません。それは、減価償却と追加投資があるからです。
そして、売却価格は、いわば、時価。
時価は、時期・地域・個々の不動産などによって変わります。そして、将来のことは誰もわかりませんが、時価の予測では、立地の将来予測と建物用途の需給予測は必須です。
毎年利益が出ていても、売却時の損失が大きいと、全体では損失が大きいかもしれません。売却損が出ても、投資期間全体では利益を確保していることもあります。
最も好ましいのは、毎年利益が出て、売却益も出ること。しかし、日本全体で考えると、今のままでは、このような不動産は地域的には限られるのではないでしょうか。
不動産投資をするときは、この2つの利益(場合によっては損失)を、よく検討した上で行いたいものです。