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「不動産ビジネス 成功への道」
-第67回-
ビルのコンセプトは誰が作る?
先日、ある設計事務所の方と打ち合わせをしていたときに、話題になったことがありました。
現在、駐車場などでしか使っていない広い土地があります。オフィスビルにも、マンションにも、店舗にも使えそうな土地です。
地主(会社ですが)は、今後、どのようにするかを決めたいということで、企画書作成とその見積もり提出を依頼したそうです。
地主から、企画を考える条件は示されていません。
これで、実行可能性の高い企画が可能でしょうか?
可能としても、無駄な検討が多くなる懸念があります。企画を検討する途中で、手戻りも多く発生しそうです。
その結果、企画作成の費用は、これらの無駄な検討の分を見込まなくてはならないので、高くなるでしょう。費用を抑えるなら、方向性が決まらないまま企画検討の内容を絞るとか、打合せ回数を限定することになります。
これで、依頼者である地主と企画を考える会社は、気持ちの良い仕事ができるでしょうか・・・。
これを避ける大きな鍵は、地主にあります。
何を大切に考えるか、判断基準を示すことです。端的にいうと「コンセプト」。
もし、“最も高い利益を上げられる案がよい”ということであっても、少なくとも、賃貸することで継続的な利益を得たいのか、売却してもよいかを決めないと、様々なことを検討しなくてはならなくなります。
その他にも、単に、賃料収入が多いことがよいのか、利益が多いことがよいのか。多数の店舗の出店が可能であれば、どのような店舗を集めるイメージか。単に、利益を上げる投資と考えるか、地元の関係も重視した建物利用とするのか。
これらを、地主が判断し、検討依頼に際して条件として示すことにより、地主が望む、実行可能性の高い企画が出てくることが期待できます。
今回の話は、ビルの運営、リニューアルなど、他のことにも当てはまります。