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「不動産ビジネス 成功への道」
-第57回-
リニューアルを上手く進める段取り
今週、新国立競技場の案2つが公表されました。
最初の案は、デザイン重視で決めたというものでした。また、当初予算1,300億円が、2,500億円を超える見込みに。しかも、さらに高くなる可能性があるといものでした。それでも進めようとしていた。
今回、見直しとなりましたが、公益社団法人日本建築家協会は、9月15日付で、“建物の高さや外苑の周辺景観への配慮等、具体的な指針が設計条件から読みとれない”と指摘しています。つまり、今回募集条件で、発注者側が求めるものが具体的に見えづらいということです。そうなると、設計が進んだ段階で、発注者が具体的にイメージするものとズレる可能性が高まります。
今回の案も、もしかすると、今後、設計の大幅な見直し、工事費の変更が起きかねません。
このようなことは、貸ビルの新築やリニューアルでも生じる可能性があります。
新築に限らず、リニューアルなどの工事では、発注者であるビルオーナーは、おおまかな考えを伝え、設計者に具体的な案(プラン)を依頼することが多いかもしれません。
しかし、本来は、ビルオーナーが、どのようなビルを作りたいのか、どのように変えたいのかなどの考え方・条件を整理し、それを設計者に提示する。そのうえで、設計者・施工者と打合せながら、進めていく。このような手順をとる方が、よりビルオーナーの意図に沿ったもので、手戻りも短くできます。
事業者であるビルオーナーは、建物で何をしたいか、どのような制約条件があるか、建物に求める条件を整理し、決める。
制約条件の中には、事業費やスケジュールもあります。建物に求める条件には、必要な建物の用途・主な設備の性能などがあります。
そして、それらを踏まえ、設計者は、専門家の立場で技術的に可能なものとして形に表す。
そして、工事金額等とズレがあれば、それを調整し、場合によっては、条件を見直すということをしなくてはなりません。
リニューアル等の工事を上手く進めるには、頭を使い、手間がかかります。
この段取りを踏むリニューアルと丸投げのリニューアルには、大きな違いがあります。あなたは、どちらを選びますか。