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「不動産ビジネス 成功への道」
-第33回-
一律削減、それでよいですか?
売上が下がると、コスト削減に走る経営者は多くいます。
赤字を避けるため、コストを削減するのはやむをえない部分があります。
その時、経営者として気を付けなければならないことがあります。
それは、売上回復の手を打たず、単に、コスト削減だけを続けること。そして、すべて一律に削減すること。
なぜ、これが悪いか。
仕事の中身を見直し、やり方や素材を見直し、コストを下げることは、前向きのコスト削減です。これは、業績に関わらず継続して行うべきことです。このコスト削減は、それぞれの業務で、削減額も削減率も差が生じます。
そして、ある水準の品質を保つには、それなりのコストがかかります。必要以上のコスト削減は、どこかにひずみが生じます。
“一律〇%削減”ということは、手を抜いたコスト削減です。ほとんど何も考えていません。
ビル経営でも、同じです。
ビル運営には、設備管理、清掃など、外部委託する部分が多くあります。
そこで、空室が増えてきたり、賃料が下がったりすると、運営費を削減したくなります。
たとえば、清掃費。
清掃委託費は、委託費を減らすと、清掃回数を減らすとすると、清掃面積を減らすなどでの対応となります。
清掃回数を減らすと、汚れがついている時間が長くなります。
エントランスや廊下など、テナントの社員の目につくところですと、テナントサービスの低下につながります。
また、ビルの共用部の床、壁などに何かがぶつかり傷がついても、修繕費削減ということで修繕しないのであれば、見た目は悪い状態が続きます。
いずれも、貸ビル業は快適なビジネスの場の提供という前提に立てば、それを損なっていることになります。
ビルオーナーの姿勢が端的に表れます。
結局は、テナントの満足度低下により、家賃交渉が難航したり、退去の遠因になりかねません。
コストを削減するにしても、内容を検討したものでなくてはなりません。