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「不動産ビジネス 成功への道」
-第25回-
市況を把握する方法
貸ビルの市況を正しく把握すること。
これは、ビル経営で重要なことです。
しかし、実際は、簡単なことではありません。
ニュースや雑誌などで、貸ビルの市況について、記事や業界の人のコメントが載ることがあります。ただ、これをそのまま信じればよいという話でもありません。
コメントには、それぞれの立場があります。
公式の場であるほど、その人の立場での発言とならざるをえません。
たとえば、「賃料値上げが可能となった」というコメント。
100のテナントのうち、1つのテナントで賃料が値上げされた場合であっても、これは正しいコメントです。
これを鵜呑みにして、本来より高い賃料で募集をしても、なかなか空室は埋まらないでしょう。
また、貸ビル市場は、地域、ビル規模などにより、市況は異なります。
オフィスとして人気のある地域の大規模なビルの市況と、人気があまり高くない地域の小規模なビルの市況では、違うことが多々あります。
同じ地域でも、ビル規模による違いなど、実際の貸ビル市場は、一律ではありません。
頭ではわかっていても、コメントを読むとき、話を聞くとき、その前提を忘れてしまっていることがあります。
では、どのようにすれば、現実の市況を把握できるのか。
ひとつの方法は、貴方が所有するビルと似たようなビルの募集賃料を定期的に集めること、定点観測です。また、精度の高い成約賃料水準を気軽に聞くことができる仲介会社の人を持つことも必要です。
貸ビル市況は、景気変動に伴い良い時期と悪い時期を繰り返しています。
現在の市況というのは、いわば瞬間風速です。空室があるときは、瞬間風速である今の賃料水準が大切ではあります。しかし、待つことが良いときもあります。また、賃料改定交渉が長くかかりそうな場合、どの時点で改定の打診を開始し妥結するか、タイミングの判断も重要です。
そのためには、市況の動きというものを把握する必要があります。
把握する方法のひとつが、ビルの定点観測。
あなたのビル、似たようなビルの募集賃料・成約賃料の動きを把握することが、市況の動きを把握する参考となります。