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「不動産ビジネス 成功への道」
-第46回-
ブラックボックス
身の回りを見渡すと、日々使っているけれど、内部がどのようになっているか、わからないものがあります。
スマートフォンはその代表的なものでしょう。その道の専門家ならわかるのかもしれません。しかし、専門家でも、ある部品の役割は分かっても、その内部の具体的な仕組みまでは分からないものはあるのではないでしょうか。ここはブラックボックスですね。
ブラックボックス化させることは、スマートフォンを製造する企業にとっては、ライバル企業に手の内を見せないようにするという重要なことなのでしょう。
しかし、スマートフォンを利用する一般の個人は、内部がどのようになっていようが、気にしない人がほとんどではないでしょうか。ブラックボックス化で端末(スマートフォン)価格が高くなるということなら別ですが、使い勝手や機能に“満足して”買っている。また、比較できる他の製品(スマートフォン)もあります。
貸ビル業も、傍から見ると、様々なことがブラックボックスです。肝心なことは、いまだに、人を介して知ることも多いですが、昔と比べると、ずいぶんと情報を手に入れやすくなってきました。
先日、ビルオーナーの方との話の中で出た話題が、このブラックボックス化していることでした。
それは、ビルの管理を委託している管理会社から先の状況が、どのようになっているかわからないというものでした。
つまり、管理会社経由で他の会社に業務を委託している部分もあるけれども、その内容が分からないということです。
昔から同じ管理会社に任せていて、問題は起きていない。
この方に限らず、このような状況にあるビルオーナーがいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、これでは、品質管理・原価管理が不十分にならざるをえない状態です。
ビルオーナーにとって、本当に問題がないのでしょうか。問題に気付いていないだけなのではないでしょうか。
先日、私が執筆した書籍が発売されたのですが、執筆中に、次のような話を聞きました。
私が出版のことで相談していた方から聞いた話です。ビル管理を受託している会社で働いているその方の友人に、“ビル管理業務などの仕事から独立した立場の人が、ビル経営についての本の原稿を書いている”と話したそうです。本の具体的な内容は話していなかったようですが、その友人の方いわく“そのような本を書いてもらっては困る”。
本の具体的な内容を聞いてなくても、このような反応だったそうです。
ブラックボックスにしておきたいのでしょう。
多くのビル管理会社は適切に管理業務を行っていると思いますが、中には、このような会社(の社員)がいます。
ビルオーナーが、貸ビル業を単なる“箱がし”と考えるか、“経営”と考えるか、これによって、取り組むべきことが変わります。