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「不動産ビジネス 成功への道」
-第31回-
事業性を見通す3つのシート
どのような商売でも、商売を継続して行うためには、財務がしっかりしていなければなりません。
財務面で安心できるからこそ、事業そのものに全力を注ぐことができます。
これは、良く聞く話です。
では、この「財務」とは何のことなのでしょうか。
これに限らず、なんとなくわかった気になる単語がありますが、人それぞれ、思っていることが違っていることも多々あります。
「財務」と同じように、「戦略」という言葉も、よく使われますが、人によって、その内容が違うこともあります。
ここで使う「財務」は、B/S,P/L,C/Fの内容です。
B/SはBalance Sheetで貸借対照表、P/LはProfit & Loss Statementで損益計算書、C/FはCash Flow Statementでキャッシュフロー計算書です。
私が会計を習った時代は、まず、B/S。次にP/Lを習いました。C/Fは習わなかったように思います。
B/Sは、企業の資金はどのように調達し、それをどのように運用しているかということ。貸しビルでいえば、自己資金は2億、借入は3億の資金を用意し、3億の土地に2億の事務所を建てたというようなことです。その後、ビル経営をすることで、建物簿価が減って現金が増えるなど、変化します。これをある特定の日(たとえば、2015年3月31日)時点で、どのようになっているかを表します。
P/Lは、ある期間(たとえば1年間)の活動の結果を表します。売上1億円、そのための費用7千万円、利益3千万円であったということ。費用には、過去に投資した資金を、計算上、各年に配賦する減価償却費があります。これは、投資した年度だけで費用と考えると、年度間の比較がしづらいからです。たとえば、建物が収益を生むのは建築後の長期間ですので、投資した建築費は、収益を生む期間に分けましょうということです。
C/Fは、ある期間に、現金がどのように動いたかを表します。
黒字でも現金が不足することがあります。たとえば、売掛金が多いと、売上があがって利益がでても、手許現金がないことがあります。
一方、赤字でも、手元に現金があれば、事業は継続できます。
通常、これらは、決算書のように過去のデータを見ます。
しかし、商売で大切なことは、過去ではなく、これからのことです。
特に、貸ビル経営では、改修工事などの多額の投資が必要になる時期があります。現金が必要になる時期があります。
建物のリニューアルが必要な時期に現金があるかも確認できます。
この3つで、私が重視する順番は、昔、習ったのとは逆で、C/F,P/L,B/Sです。
少なくとも、お持ちのビルの将来のC/F,P/Lを予測してはいかがでしょうか。