更新
「不動産ビジネス 成功への道」
-第21回-
あなたの資産はどこまでですか?
3月31日、民法の改正案が、閣議決定されました。
不動産に関しても変化がありますが、原状回復に関係のある敷金返還についてが、特に、話題になってきました。
マスコミでは、賃貸住宅を例として話題になっていますが、原状回復については、オフィスビルの方が、金額面でも、はるかに大きいです。
賃貸住宅で入居者が大幅な工事を行うことは稀ですが、オフィスビルでは良くあることです。
テナントが工事をすると、建物は、貸主が貸すときの原状から変わります。
オフィスビルでは、通常、賃貸借契約で、テナントに原状回復を義務付けますので、テナントが退去するときに、原状回復を行うことになります。
特に、テナントが長年入居した後で、退去するときに、問題が起こることがあります。
たとえば、
・前のテナントが退去時に残してあった間仕切りを、今のテナントがそのまま使っていた。
・何度も、工事を行ってきた。
・新築ビルで、竣工後すぐにテナントが使えるように、建築中にテナントの工事を行っていた。
というようなケースです。
原状を文書で残していないと、退去時に、“原状回復をどこまで行ってもらうか”ということが問題になりやすくなります。
工事金額は多額ですし、工事の内容によっては、工事期間(つまり、テナントが実質的に貸室内を使用できる期間)が変わります。
しかしながら、設備まで含めて具体的に定めていないビルがあります。“大きな工事はないだろうから”ということで定めていないのかもしれませんが、ビル運営のルールのひとつです。
原状をはっきりさせ、オーナー資産とテナント資産を明確にさせておくことで、退去時に余分な交渉をしなくてすみます。
決めることの効果は大です。