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「不動産ビジネス 成功への道」
-第6回-
醸しだす雰囲気
“オーラを放つ“人がいます。
私の友人のひとりが1990年代のソニーで働いていました。ソニーの共同創業者の盛田昭夫さんは、井深大さんとともに、ゼロから世界中の人々があこがれる企業に育て上げた方です。
「学歴無用論」「MADE IN JAPAN」「『NO』といえる日本」などの著書は出版時、大きな話題になりました。世界中を駆け回り、各国の著名な政治家、経済人、文化人などとも親しくしていたそうです。
その盛田さん、私の友人の話では、近くに来るとオーラを感じたそうです。
これは、ある意味、誰でもが持っているものだと思います。人それぞれが醸し出す雰囲気があります。オーラは、それが、特に、強いものなのでしょう。
オフィスビルにも、それぞれのビルが醸し出す雰囲気があります。
格を感じる雰囲気のビル、築年が古くても、味わいのある雰囲気を醸し出しているオフィスビルは、数は少ないですがあります。
それは、建物のデザインだけではありません。ぴかぴかに磨かれた床・トイレ、傷んだ部分は補修しているなど、日々の手入れが行われています。
反対に、築年がそれほど古くなくても、汚れや傷みが目につくビルがあります。それは、汚れた部分、傷んだ部分だけのことではなく、ビル全体の雰囲気を変えます。
また、入居しているテナント企業の社員など、ビルで働く人々の雰囲気も、ビルが与える雰囲気に影響します。
これらのことが混然一体として、ビルのイメージを創りだしています。
しかし、これは、ビルオーナーがコントロールできることでもあります。建物のデザイン、清掃・修理など日々の手入れの水準、入居するテナントなど、最終的にはビルオーナーが決定することです。
「満室稼働」。これは、ビルオーナーの多くが望むことです。ただ、極端に言えば、それなりのオフィス賃借需要がある地域なら、家賃を安くし、テナントを選ばなければ満室にはなるでしょう。けれども、そのようなビルのテナント企業の社員は、そのビルで長く働きたいと思うでしょうか。そのような考えだけで、稼ぎ続けるビルを創れるでしょうか。
賃貸オフィスビルは、“日本を支える企業に快適なビジネスの場を提供し、その対価として賃料をいただく商売”であると、私は信じています。
あなたのビルは、どのような雰囲気を醸し出していますか。
“このビルに入っている企業は活力がありそうだな”
と思わせる雰囲気でしょうか。
“自分のこと”は自分ではわからないように、お持ちのビルも客観的に見られないかもしれません。友人や取引先で率直に意見を言ってくれる人がいれば、その人に聞くこともひとつの方法ですが、ご家族に聞く手もあります。先入観や下手な配慮がない分、的を射たコメントかもしれません。
そして、最も大切なことは、
“どのようなビルのオーナーになりたいか?”
これが、すべての始まりです。