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「不動産ビジネス 成功への道」
-第197回-
建物調査
中古住宅の売買に際して建物の状況を調べる「建物状況調査」についての記事がありました。
今年4月の宅地建物取引業法の改正後、この調査が、どの程度の割合で行われたかを調べた結果、戸建て住宅、マンションともに、1%もないということです。
プロの投資家が購入する賃貸オフィスビルや賃貸マンションでは、購入前の手続きとして、様々な調査を行うデューデリジェンスが、20年ほど前の1990年台後半から始まりました。その後、多くの物件で、利用されています。
この背景には、バブル後遺症で、国内では売却できにくかった不動産を、海外の投資家が購入し始めたことがありました。賃貸による収益から価格を査定することとともに、将来の支出予測も含めた、投資リスクの把握・分析に必要になりました。
つまり、買い手市場で、買い手が通常行う購入検討手続きの中に組み込まれており、買い手の要請があったから広まったといえます。
一方、マンションで、将来の修繕積立金が不足しているというものが多数あるようです。購入時点もそれ以降も、将来の支出等に対する意識・実感が薄いことの現れだと思います。今回の戸建て住宅やマンションの1室の売買でも、同じように、このような動機が薄いと思います。
逆に言えば、将来の収益を重視する投資用不動産では、将来の支出予測に不可欠である長期修繕計画は、建物の現状が基礎となるので、建物調査の結果が必要となります。
あなたの不動産ビジネスでも、将来予測は必要です。どのような状況か、把握し、事業計画に反映させていますか?