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「不動産ビジネス 成功への道」
-第38回-
わかりやすさは、信頼を高める。
精度を高めようと、複雑にするほど、わかりにくくなる。
そのような経験はありませんか。
たとえば、7年ほど前のリーマンショック前、投資の世界で、信用度の低い債券などを複雑な計算によって組み合わせてリスクを減らしたつもりが、実際はそうではなかった。
難しすぎて、実際にどのようになっているか、わかっていずに投資した人が多かったようです。
簡単に考えると、信用度の低いものを組み合わせても、リスクは高いということです。
複雑なことでも、シンプルな表現で表せる。
これは、簡単なようで難しいです。しかし、納得感は高まりやすくなります。
ビル経営でも似たことがあります。
たとえば、料金の計算。
テナントがビルオーナーに支払うものは、毎月支払うものと、一時的なものがあります。
毎月支払うものの代表が賃料です。そして、テナントが室内で使う電気料等の光熱水費。
特に、電気料は、テナントが支払う使用料の中でも高額になりがちです。また、毎月変動します。
電気料は、テナント分も含め、ビルオーナーが電力会社に支払います。そのうち、テナントが使用した電気量に応じて、ビルオーナーがテナントに請求します。
いわば、電気の再販です。
この料金は、どのように計算し、テナントに請求していますか?
この課金方法に、統一されたものはありません。
つまり、ビルオーナーの考え方次第です。
電力会社から請求される電気料金は、基本料金と従量料金の合計です。ただ、季節的な変動等があるため、これをそのままテナントに請求すると、テナントからみると、わかりづらくなります。請求額が正しいか確認するための事務的な手間もかかります。
そこで、電力会社から請求される電気料金が、ある程度変動しても、それを吸収できる程度で、簡便な計算でテナントへの電気料を計算できる方法としておくことも有効です。
手間暇かけて精度を高めても、お客様がわかりにくくなる。
一方、ちょっとは精度が落ちても、簡便にし、わかりやすい計算とする。
どちらがよいでしょうか。
なお、周辺のビルと比べて、妥当な範囲の電気料金にとどめておくことは、当然のことです。