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「不動産ビジネス 成功への道」
-第9回-
箱根への道は、三つ星オフィスビルへの道と同じ。
今年の箱根駅伝は、青山学院大学が2位に10分以上の差をつけて、史上最速タイムで優勝しました。
一昨日、TVニュース内の特集では、原監督へのインタビューがありました。
2004年の監督就任から優勝までの道のりは、まさに、ビル経営に通じるものがありました。
まずは、箱根駅伝優勝までの道のりの話です。
青山学院大学は1977年以降、箱根駅伝に出場できていませんでした。
2004年、大学は、大学のブランド強化のため、駅伝強化に取り組むことにしました。
原監督は就任に際し、“3~5年で箱根出場、7年でシード権、10年後に優勝を狙える。”ということを目標に設定しました。
実際は、2009年に箱根出場、2010年以降はシード権確保、そして今年の優勝です。
多くの大学が、箱根出場、シード権確保、優勝へ、それぞれ努力している中、28年間出場もできなかった大学が、なぜ、10年で優勝できたのか。しかも、原監督は高校・大学・社会人と陸上はやっていましたが、20代後半から電力会社の営業マンだったのです。
理由は、目標設定と、目標に向けての取り組みだったようです。
まず、練習。
昔ながらの練習方法である腕立て伏せなどを止め、体幹トレーニングを取り入れました。選手によると、1年で体が変わったのがわかったそうです。
そして、通常の平坦なランニングコースの横に、クロスカントリーコースという起伏のあるランニングコースを設置しました。これは、箱根駅伝のコースは平坦ではなく、起伏があるから、それに対応するため。
次に、勧誘する選手。
過去の記録よりも、箱根で勝つための資質。今の駅伝は高速なので、それに対応できること。そのためには、スピードがありバネがあること。ぴょんぴょんした走りが良いそうです。
また、選手の人間性。体育会系でありがちな、何を聞いても「はい」という人はダメ。言葉のキャッチボールができること。つまり、自主的に行動できること。
そして、最も大事なことが、目標管理ミーティング。
毎月、7人程度のグループで、チームの目標と個人の目標について、状況を確認し、話し合います。最初のころは監督も参加していましたが、今は、選手だけで行っています(自主的に行動しているということですね)。
しかし、これらを他の大学が真似ただけでは効果が薄いと、私は思います。
なぜなら、これは表面に出ていること。
短いインタビューの中には出ていないことが、最も大切なことだと思います。
それは、目標達成に向けての戦略。
目標は10年後の優勝ですね。それに向け、環境、人材獲得、育成などの分野ごとの戦略を立て、それぞれについて、具体的な方法を取り入れた。
具体的な方法は目標達成の“手段”ですから、たとえば、体幹トレーニングだけを真似して行っても、それなりの効果はありますが、優勝はできない。
ビル経営も、まったく同じです。
繁盛し続けるビル経営をするという目標を設定し、それを達成するための戦略を立て、各戦略を実行する具体的な方法を見つけ、それを実行することになります。
たとえば、新規テナント誘致の場合。
単に募集をするだけでは、今の時代、簡単には成約しません。
商品としてのハード、サービス、運営についての戦略があり、そのうえで、具体的な方法、つまり、ビルの“売り”をどう作るか、募集の方法と募集に使う道具はどうするか、内覧時の対応手順と方法といったものを作りこんでいく必要があります。
これらの段階を体系的に作り、これを実行すること。
そうすれば、新規テナントの可能性は飛躍的に高まります。
ビル経営も、今までのやり方を忘れて基本に立ち返ることが、繁盛し続けるために重要なことだと思います。
目標を決め、それの向けての戦略を立て、具体的な対策を組み立て、実行すること。
基本的なことですが、実行できているでしょうか。