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「不動産ビジネス 成功への道」
-第7回-
収支構造を確認する。
お持ちのビルの「収支構造」はご存知でしょうか?
貸ビル業も他の商売と同じ事業ですから、安定した収益を確保しなくてはなりません。そのためには、収支構造の理解は不可欠。
簡単にいうと、いくら稼いで、いくら支出しているか。そして、収支に影響度が大きいのは何か。
最も大切なことは、毎年の支出をまかなえる売上はいくらか。どの程度、余裕があるかです。
ビルの支出は、改修や設備更新等の投資を除くと、固定的に支出される部分が多いです。
売上である家賃収入等が、長期的に見ても固定的な支出を上回らなければなりません。現在、上回っていても、それが続きそうか、予測することが大切です。もし、下回る懸念があれば、どのような対策がとれるかを考えなければなりません。
もし、一部のテナントが退去した場合、影響はどの程度あるのか。
それを知ることで、家賃改定交渉にも役に立てることができます。
これらを知るために、現在の収入と支出を整理し、一目で見られる形にします。
支出は、固定資産税など、基本的には対策がとれないものがあります。一方、外部委託費等は、内容の見直し等を行うことで削減可能なものがあるかもしれません。
このとき、気を付けなければならないことは、費用削減がビルの価値を損なうことです。これには、将来の費用増加や故障発生増加などがありますが、他にテナントに対するサービスの低下につながるものも含まれます。費用を削減したはいいが、家賃低下、テナント退去につながると逆効果です。
“その削減はビルの価値の低下につながらないか”、“低下するとしても許容範囲か”、これをキチッと検討しなければなりません。
また、借入金があれば、その元金と利息もカバーできるか、チェックしましょう。
これらは、現金の出入ですが、税金支払いを考えると、“現金支出はないけれども費用となる”減価償却費を含めた損益計算も必要です。
収支構造を理解し将来予測を踏まえたうえで行う打ち手と、そうでない打ち手は、結果に大きな違いがでるとともに、打ち手に対する自信も変わります。
既に理解されていても、市況は変わります。年に1度くらいは、見直してはいかがでしょうか。